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世界遺産候補_長崎・天草の教会群_その2

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世界文化遺産国内候補暫定リストに、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」があります。

五島列島、天草、島原、平戸につづいて、外海、黒島、大浦天主堂行ってきました。

有名な教会のほかにも多くの教会があり、個性ある姿を私たちに見せてくれています。

写真で振り返ります。ちなみに、私は信者ではないので、詳しい解説はできず、あくまで感性のコメントです。

長崎・天草の教会群



黒崎教会

長崎市外海にある教会です。

世界遺産候補ではありませんが、静かで、かつ立派な教会です。

出津教会堂の方のお話によると、出津教会の経験を踏まえて、黒崎教会は自分たちが思い描く建てたい教会にしたとのことです。だから世界遺産候補ではないのです、とおっしゃられましたが、そういったつながりも含めて文化を構成していると思います。

黒崎の地は遠藤周作「沈黙」の舞台でもあります。

黒崎教会

遠藤周作文学館

「沈黙」の舞台、長崎市外海の海が見える場所に、静かにあります。

「沈黙」は高校の頃、国語の試験問題にも出たことがありましたが、あらためて歴史の舞台を奥行あるものにしたこの作品に出会えました。

「私どもはこんなに苦しいのに、主よ、海があまりにも美しいのです」という一文が掲げられていました。外海なのに無風で、その言葉がぴったりの海でした。苦しいときの美しすぎる景色は時として残酷で、涙が出ることは誰でも一度は経験があるのではないでしょうか。

遠藤周作文学館

出津教会堂

長崎市外海にある教会です。世界遺産候補です。

内部は和洋折衷のような雰囲気です。平天井で、扉も引き戸です。台風のとき、非常に強い風が吹くので、当時高い天井の教会が建てられなかったとのことです。

記念のスタンプが設置されていましたが、そこには「県指定文化財」と書かれていました。ちょっと前までほぼ無名だった教会が、一気に広まったことがわかります。

出津教会を設計したド・ロ神父は教育や生活を豊かにすることにも力を入れており、それが旧出津救助院の製粉、マカロニ工場として残っています。地元の方のお話では、いつ壊すのだろうとおもっていたらいきなり重要文化財になったのでびっくりしたとのことです。

旧出津救助院には旧いオルガンがあり、説明される方の演奏を聴くことができます。これがなんともふんわりした音色で、かつ鍵盤を動かして音階調整できるという当時としては画期的なものです。

出津教会堂

大野教会堂

長崎市外海にある教会です。世界遺産候補です。

出津より小さな集落なので、現在は出津教会でミサが行われ、大野教会でのミサは1年に1回だそうです。しかし、1年に1回のミサがあるので、現役の教会であることに変わりはありません。

玄武岩の切石を漆喰で固めた壁は、設計したド・ロ神父に因んで、「ド・ロ壁」と呼ばれるそうです。

この地域の方は江戸時代の禁教が解けたあともカトリックに復帰せず、江戸時代の秘教形態をつづけている「カクレキリシタン」の方も少なくなかったそうです。今では減少してしまったそうですが。

大野教会堂

神崎天主堂

本土最西端、神崎鼻の近くにある教会です。

世界遺産とは関係ありませんが、本土最西端の近くにある、最も大きな建物のようです。周辺集落の規模に比べて、とても立派です。

日曜日の、ミサがはじまるちょっと前ぐらいの時間だったようなので、内部の観覧は遠慮しました。何十台もの車が、次々と教会のほうに曲がってきます。このような深い信仰のある生活を送ったことがないのですが、長崎の海がきれいなところには、信仰が生活に根付いていることがよくわかります。

神崎天主堂

黒島天主堂

長崎県の離島、黒島にある教会です。

世界遺産候補です。佐世保市の北部、相浦港から1日3便の船に乗って、そこから30分歩いて辿りつく教会です。九十九島のひとつです。実際には通りがかりの親切な地元の方に送っていただき、5分足らずで着きましたが。

今回、どうしても行きたかった教会です。人口500人ほどの島ですが、大浦天主堂と同じか、それを上回る凄さです。ロマネスク様式で、ステンドグラスなどもきれいです。床のタイルは有田焼です。長崎の潜伏キリシタンが弾圧を逃れて辿りついたのでしょう。多くの信者が祈りをささげているそうです。

日本には、行くのが困難なので有名になっていないけれど、すごく歴史があったり、圧倒的な豪華さだったり、目を見張る自然だったりするものがたくさんあります。九十九島は、遊覧船だけでなく、黒島に行くのもおすすめです。

黒島天主堂

黒島カトリック墓地

黒島にあるカトリック墓地です。

黒島教会から少し歩いたところにあります。この写真には写らない、もっと広い広い範囲に墓石がおかれています。奥のほうには、崩れかかっているようなところもあります。

黒島天主堂が立派である所以です。たくさんの信者の方に支えられているのでしょう。しかしこれも日本独特のお墓の形態です。ベースは他の宗教の方と同じ形で、十字と像、それに墓碑名が違うのみです。日本らしさがよく出ています。

黒島カトリック墓地

大浦天主堂

長崎市にある教会です。世界遺産候補です。

最後はやはりここです。まだ世界遺産候補はたくさん残っていますが、これは次の機会ということで。中学のとき、定期観光バスで行った以来です。坂の多い長崎で、その上にそびえたっているので、ひときわ高く見上げる感じのする教会です。

大浦天主堂は元々駐留外国人のために造られた教会で、フランス寺と呼ばれていたそうです。したがって、ここは日本の歴史としては、開国のひとつのプロセスであり、象徴でもあります。黒島よりははるかに身近ですが、やっぱり立派です。本当は、ここがスタートかもしれません。

大浦天主堂

大浦教会

大浦天主堂のすぐ近くにある教会です。

大浦天主堂は事前予約なく、基本的には日曜日午前中も観覧できますが、それはこの教会があるからだと思います。信仰の活動は、この教会で行われているからなのでしょう。単なる歴史上の遺物ではなく、受け継がれているということがよくわかります。

世界遺産候補、あとは旧野首教会、旧五輪教会堂、江上天主堂などです。旧野首教会は小値賀島から無人島の野崎島に渡るツアーしかなく、最も辿りつくのが困難なのですが、また次の機会で。

大浦教会

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